インドが2033年までに5基の小型モジュラー原子炉の運転を目指す



インド、2033年までに5基の小型モジュラー原子炉の建設を目指す

2023年10月19日、インドの原子力大臣ジテンドラ・シン氏は、インドが2033年までに国内に5基の小型モジュラー原子炉(SMR)を建設する計画であると発表しました。この動きは、今後20年間で原子力発電容量を拡大するというインドの戦略の一環です。シン氏はこの情報を立法議員への書面回答で伝えました。



SMRプロジェクトの詳細

インドの原子力研究の中枢であるババ原子力研究センター(BARC)は、現在複数のタイプの原子炉を開発中です。主なプロジェクトには以下のものがあります:



  • 220MW出力のバラート小型モジュラー原子炉(BSMR)
  • 55MW出力の原子炉
  • 水素製造に使用される高温ガス原子炉

これらのSMRは、従来の大型原子炉に比べて建設コストが低く、導入期間が短いという利点があります。また、小規模な電力網や離島地域にも適しており、インドのエネルギーインフラの多様化に貢献します。



インドの原子力エネルギー開発計画

インドの原子力エネルギーロードマップによれば、同国は現在の8.78ギガワット(GW)から、2031-32年度までに約22GWに原子力発電容量を増加させることを目指しています。さらに、2047年までに原子力発電容量を100GWに引き上げるという野心的な目標を掲げています。これは現在の8.8GWから大幅な増加となります。



この目標を達成するためには、莫大な投資が必要です。原子力省が設置した委員会が昨年発表した「100GWロードマップ」報告書では、投資額は19.28兆ルピー(現在の為替レートで約2000億米ドル)に上ると推計されています。



原子力エネルギー法と民間投資

2025年末に、インド政府は歴史的な原子力エネルギー法を承認しました。この法律により、民間企業が初めてインドの原子力産業に投資することが可能になります。持続可能なインド変革のための原子力エネルギー進歩の活用に関する法案(SHANTI法)は、民間企業による原子力エネルギー分野への大規模な投資を促進すると期待されています。



この法的枠組みの導入は、インドの原子力産業にとって転換点となります。これにより、技術革新、資金調達、効率化が加速し、国際的な協力パートナーシップが促進されるでしょう。



NTPCの原子力発電開発における役割

インド最大の電力供給事業者であるNTPC社は、2047年までに設置される新しい原子力発電容量の約30%を占める見通しです。現在、NTPCはインドで唯一の原子力発電事業者であり、原子力発電容量の大幅な拡大に見合うウラン資源を確保するため、世界的なウラン資産の株式を取得する動きを見せています。



国際的な視点と協力

インドのSMR開発計画は、国際的な協力を通じて加速することが期待されています。特に、ロシア、アメリカ、フランス、カナダといった原子力技術を有する国々との協力が重要となります。インドは「原子力供給国グループ(NSG)」への加盟を長年目指しており、SMR開発はその一環として位置づけられています。



また、SMR技術の開発は、気候変動対策と持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献します。小型モジュラー原子炉は、石炭火力に比べて大幅な二酸化炭素排出削減が期待できるクリーンエネルギー源として注目されています。



技術的課題と展望

SMRの導入にはいくつかの技術的課題があります。安全性の確保、廃棄物処理、経済性の向上などが重要な課題となります。特に、インドのような人口密集国では、原子力施設の安全性に対する社会の信頼を確保することが不可欠です。



しかし、BARCをはじめとするインドの原子力研究機関は、これらの課題に対して革新的なアプローチを取り続けています。特に、固有安全設計の採用や、デジタル技術を活用した監視・制御システムの開発が進められています。



時期発電容量(GW)必要投資(億米ドル)
現在(2023年)8.8-
2031-32年度まで22-
2047年まで1002,000

インドのSMR開発計画は、同国のエネルギー安全保障を強化し、経済成長を支える重要な柱となります。同時に、気候変動対策と持続可能なエネルギー未来の実現に向けた貢献も期待されています。この野心的な計画が成功すれば、インドは原子力技術における世界の主要プレーヤーとしての地位を確立することでしょう。



#原子力エネルギー #インド #小型モジュラー原子炉 #民間投資 #クリーンエネルギー